出展者紹介 金子恭史さん

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「Metal NEKO」の金子恭史さん。
埼玉県狭山市にて、主に鍛鉄の技法を用いて、家具やエクステリア、雑貨、道具などを制作されています。

ものづくりをはじめたきっかけ、ものづくりで好きなところ、こだわりなどを教えてください。

暮らしの中で役立つ「何か」を作る仕事を通して社会と関わりたいとの思いから、当初は製造メーカーへ就職しましたが、
工場での大規模な大量生産に携わる中で、自らの目指したい「ものづくり」のありかたについて、
次第に深く考えるようになった頃、ある言葉に出会い深く感銘を受けました。
「私にとって、アンティークの価値は、オークションで、どれだけの値がつくか、ということではなく、そのものにまつわる思い出の価で決まります。」
(「私のアンティーク」 堀口すみれ子  ~見るアンティーク。使うアンティークのある暮らし(主婦と生活社)~より引用)
この言葉が転機となり、使う人と共に時を重ね、そこにたくさんの思い出が込められるような、
豊かな暮らしや心を形作る一助となりえるようなものづくりを志し、今の道へと進みました。
コークスやバーナーの炎で、真っ赤に熱した鉄を、ハンマーで叩いて延ばしたり、細くしたり、曲げたり、丸めたり。
鍛造した鉄は、普段目にする工業製品の鉄とは、また少し違った表情を見せてくれます。
「手に近づけば近づくほど、鉄はあたたかくなる。」
手の中に収まる道具の、納まり具合や持ちやすさを検討している時に、いつもそんなことを思います。
よく手になじみ、違和感なくフィットする道具。
離れがたく、ずっと手の中にもち続けられるような道具。
そんな道具をずっと持っていると、ふと気がついたときには、自分の体温ですっかり温まっていたりします。
鉄に感じるぬくもり。
道具や手にするものに、感じるぬくもり。
誰かの作ったものや何かに感じるぬくもり。
何かにぬくもりを感じる時。
それを作った人や、そのもの自体が発するぬくもりもあるでしょう。
でももしかしたら、その「もの」が、それを使ったり手にしたり、見たりする人の手や体、心に、
あまりにもぴったりと、寄り添うようにフィットすることで伝わってきた、その人自身の温かさなのでは、とも、ふと思ったりもします。
そんな道具やそんなものを作れたら・・・と、一人のつくり手としては、願うばかりです。

千葉とのつながりを含めた自己紹介、にわのわへの思いを語ってください。

ものづくりをはじめて一番最初にきちんとした「仕事」として依頼してくださったのが、千葉の大工さん耕木杜さんでした。
それ以来、いくつもの千葉の住宅に、金物やポスト、インターホンカバーなどを納めさせて頂き、
納品に何度も足を運んだ思い出深い土地です。
また昨年は幕張メッセで開催のDIYショーでも公開制作と展示販売を行い、自分の仕事の始まりから飛躍へと、
重要な一歩一歩が千葉という土地に刻まれているように感じます。
そうした千葉の地で開催されるにわのわさんのイベントで、
今のMetal NEKOの制作・活動を知って頂き、鉄を用いた様々な道具の魅力や可能性を感じて頂ければと思います。
多くの皆様との出会いの中で、作り手、使い手双方の顔の見える関係性の中から生まれてくるものづくりを大切にしたいと思います。

にわのわではどんな作品を発表していただけますか。

家具類:棚、机、ベンチ、スツール、コートハンガーなど。
ランプ類:燭台・カンテラ・キャンドルホルダーなど。
キッチンツール&テーブルウェア類:フライパン・鍋敷・コースター・スプーン・カトラリーなど。
道具類:ベル・風鈴・ハンガー・靴べら・蚊遣り・花器・ペンスタンド・ブックスタンド・テープカッターなど。
金物類:フック・バー・自在鉤など。

金子恭史さんHP

*さまざまなオーダーに応えて制作されている金子さん。
使う人のことを考えた丁寧な姿勢が、硬く黒い鉄という素材をあたたかくぬくもりのあるものにしているように感じます。

(にわのわ実行委員:はまぐち)

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