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2017.04.27

出展者紹介:濱口さえこ

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濱口さえこさんのご紹介です。

プロフィール

植物専門の出版社勤務などを経て、
千葉で小屋暮らしはじめたことをきっかけに
草木の力を借りたものづくりをはじめました。
今は主にヘリンボーン柄の裂き織りバッグなどをつくっています。

—ものづくりの道に進むことになったきっかけを教えて下さい。また、ものづくりの際に大切にしていること、ものづくりに対する思いを聞かせてください。

小学生のとき近所に住んでいた親戚は益子に窯のある陶芸家で、
自宅には彫金の工房部屋もあり、
漫画とお菓子にあふれていました。
その人にもらった蝶々の絵のちいさなお湯のみなら、
苦手だった緑茶もおいしく飲めました。
うつわや指輪をつくらせてもらったり、和歌を習ったり。
もうひとり、人形作家の親戚もいて、
井の頭公園あたりの工房を訪ね、
ぬいぐるみをつくらせてもらったことがありました。
気に入った型紙どおりに気に入った布を裁って、縫う。
布もパーツもたくさんの種類が引き出しにきれいに収められていて、
材料を眺めているだけでもたのしかった。
全身ピンクの恐竜をつくりました。
あの、道具や材料にまみれた部屋や、
そこで暮らして、日々ものをつくっている人と出会えたことが
自分もものをつくりたいと思うきっかけだったのかもしれません。
今は草木で染め、裂き、撚りをかけ、織っています。
太陽や水や風によって、
草木の秘めた力が色としてあらわれ、
見たり触れたりできるようになることに心を躍らせ、
こわしてつくる裂き織りの作業のなかに宇宙をみたり、
糸と糸の重なりで織りなす模様たちのなかに
ちいさな感情のひだまでもを描きだそうとしたりして、
手を動かしています。
そうして織り上げた古くて新しい裂き織りの布が、
いびつながらも誰かの暮らしの一部となり、
整う日も整わない日もある日々の営みのなかにとけ込んでいけたら、
こんなにうれしいことはありません。

—にわのわは地元千葉をだいじにし、つくり手とつかい手を結ぶ「わ」となることを目指しています。千葉とのつながりを含め、つかい手に向けた簡単な自己紹介をお願いします。また、にわのわに抱いているイメージを教えてください。

にわのわにはプレ開催から関わらせていただいていて、
去年まではこのブログを書いたりしておりました。
つくり手のことばを反芻することは学びの多い時間でしたし、
毎年「にわのわはじまるよ~」とつくり手のお子さんたちと歩いたことはよき思い出です。
他のにわのわスタッフの多才ぶりには脱帽!ですが
わたしにできることはweb班のお手伝いや
ワークショップなどほんのすこし。
でも、にわのわの「わ」のつなぎ手の一部となり、
つくり手とつかい手とがつながる場をつくれたら、
そこから見える景色はいいだろうなあ、と思い
にわのわが笑顔あふれる場であることを願って
ともに泣いたり笑ったり飲んだり食べたりしてきました。
震災後に準備を始めたにわのわは、
それぞれの根っこである地元がたいせつであること
ものを消費するだけの時代は終わったこと
ものの選び方で目の前に開ける未来が変わっていくこと
を伝え、それを実感するみんなの場でもあると感じてきました。
「にわのわ」という名前が決まった瞬間がつい昨日のことのようで、
つくり手としてのこれまでの道のりはずいぶん長かったようで、
とにかくにわのわがあったから今がある。
みなさまほんとうにありがとうありがとう、心から。
当日、緑の中で皆さんとおしゃべりできることをたのしみにしています。

—にわのわではどんな作品が並び、どんな展示となりそうでしょうか。見どころやいちおし作品があったら教えてください。

柿の実幼稚園を卒園したせいでしょうか、柿が好き。
しだいに色が濃くなり、張りが出て力持ちの布になる柿渋染めも大好きです。
今回は柿渋で染め分けたさまざまな色味の布や
藍染めや庭の木々で染めた季節の草木染めの布からつくった
裂き織りバッグを並べたいと思います。
凸凹していたりポツポツしていたりする織り目や
手触りの違いも感じていただけたらうれしいです。
ふだん使っている道具たちもご紹介します。

濱口さえこさん、ありがとうございました。

https://www.saecosite.com/