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2025.04.22

出展者紹介:前田昌輝[Wood Work Studio タジェール・デ・マエダ](木工・漆)

プロフィール

前田 昌輝(まえだ まさてる)
1973年生まれ、元自動車整備士
2017年より岐阜県多治見市で木器作家として活動を開始しました。

—ものづくりの道に進むことになったきっかけを教えて下さい。また、ものづくりの際に大切にしていること、ものづくりに対する思いを聞かせてください。

壊れたものを直すという自動車整備の仕事に誇りを持って参加した青年海外協力隊での二年間の南米生活。これが私のターニングポイントでした。
赴任先のエクアドルの人々は、仕事はそこそこに働き過ぎず、余った時間を家族と過ごすという心豊かな人間らしい日々の暮らしが当たり前でした。
帰国後、自動車関係の仕事に就職しましたが日本の企業は残業するのが当たり前。家族と夕食を共にする日はほとんどなく子供の寝顔しか見れない毎日。エクアドルでの生活を思い出しながら葛藤するサラリーマンでした。そしてついに、体調を崩して長期休職した時にたまたまそこにあった木をナイフで削りだしたのがきっかけで、友人の勧めから木工旋盤に出会いました。
そんな頃、子供が森の幼稚園に通い始め毎日森で自由に過ごす生き生きとした我が子の姿を見て「常に心が疲れている父親の背中を見て育つのはどうなのかな」と思うようになりました。
以来、心豊かな人間らしい日々の暮らしへの思いを作品に込めてひとつひとつ丁寧に仕上げています。
そして、もうひとつ。木は生きています。私よりも長く生きている木もたくさんあります。ひとつのところにとどまり日の当たるところへ枝を伸ばし季節の移り変わりを何度も見て風雪に耐えてきた木たち。色んな理由で切られてしまった木を眺めながら生きた時間に思いを馳せ、それぞれの個性を活かした美しい器として生まれ変わってもらえればという思いで制作しています。

—にわのわは地元千葉をだいじにし、つくり手とつかい手を結ぶ「わ」となることを目指しています。千葉とのつながりを含め、つかい手に向けた簡単な自己紹介をお願いします。また、にわのわに抱いているイメージを教えてください。

2度目の参加となります。岐阜県多治見市で木の器を制作しています。
千葉県では2022年に工房からの風、そして昨年のにわのわに出展しました。
昨年、にわのわ出展では思い描いていた風景の中でたくさんの熱心なつかい手さんたちと熱いお話ができたことがこの上ない経験でした。
自然溢れる新緑の会場で、私の元に巡ってきた木々に思いを馳せながら制作した作品たちを通して、今回も皆様と心通うお話しができればと願っています。

—にわのわではどんな作品が並び、どんな展示となりそうでしょうか。見どころやいちおし作品があったら教えてください。

切り出された木ひとつひとつを眺め思い浮かんだカタチに向かって削り出した器たち。
化学合成のものは使わず、木目を残しつつ鉄染、藍染、草木染などで着彩しオイルや漆で仕上げています。
私の作品の主役は「木」です。
それぞれの木が持つ美しさや力強さを活かした日常使いの器や触れて木肌を楽しむためのオブジェなどを並べます。