2026.04.17
出展者紹介:田中義久[schmied 1535](金属)
プロフィール
金属を素材に、山のふもとの工房で一人制作しています。建築装飾金物から暮らしの道具まで、素材の表情と経年を大切に、静かに佇むものを目指しています。
—ものづくりの道に進むことになったきっかけを教えて下さい。また、ものづくりの際に大切にしていること、ものづくりに対する思いを聞かせてください。
2009年、リーマンショックで仕事がなくなり、あたり前だった日常が崩れていきました。
先の見えない不安の中で、そのとき強く思ったのは、「自分の手の届く、ミニマムな生活がしたい」ということでした。
大きな社会の流れに翻弄されるのではなく、自分の手で生み出し、誰かに直接届け、喜んでもらう。学生時代に楽しみにしていた図工や美術の時間のような、あのシンプルで純粋な感覚の中に身を置きたいと思ったのです。
何の伝手もなく、金属工房をネットで探し、片っ端から連絡しました。
今思えば無鉄砲で、いきなり電話をかける失礼な若者だったかもしれません。
それでも必死でした。
ほとんどの工房に断られる中、唯一見学させてくれたのが埼玉にあるFuigoと言う西洋鍛冶工房の平田さんでした。
薄暗い工房。石炭と油の混ざった匂い。無骨でアンダーグラウンドな空気。
そこで鳴っていた黒電話の「リンリン」という音。
その空間に立った瞬間、金属の魅力に取り憑かれました。
結局、どこかに弟子入りする道は叶わず、岐阜に帰って独学で始めることを決意しました。
その直後に東日本大震災。さらにコロナウイルス。
何度も「あたり前」が崩れていく時代の中で、それでも前を向いて歩き続けてきました。
立ち止まった今、改めて思います。
どこへ行っても、何をしても、自分は自分。
個性だけは捨てたくない。
最近なぜか、高校生の頃に聴いていたPunkを繰り返し聴いています。
もしかしたら原点はそこにあるのかもしれません。
社会が揺れ動く中で、自分の手で生きる道を選びたかったこと。
それが、モノづくり作家になったきっかけです
—にわのわは地元千葉をだいじにし、つくり手とつかい手を結ぶ「わ」となることを目指しています。千葉とのつながりを含め、つかい手に向けた簡単な自己紹介をお願いします。また、にわのわに抱いているイメージを教えてください。
岐阜で鉄の工房「schmied 1535」を営み、金属を叩き、曲げ、火と向き合いながら制作をしています。
千葉との関わりは多くありませんが、工房を始めた頃、金属の工房を訪ね歩いていた時期がありました。
その中で、旭市に住む友人の家に泊まり、数日を過ごしたことがあります。
その友人もまた、自分の手で時間をかけながら家をつくっている人でした。
海と暮らしが近く、自然のリズムの中に身を置く感覚。
人工と自然の境目がやわらかいあの空気が、今も印象に残っています。
今回、にわのわ アート&クラフトフェアで展示する機会をいただき、その土地の空気の中に自分の作品を置いてみたいと感じています。
鉄という無機質な素材が、その風景の中でどんな表情を見せるのか。
とても楽しみにしています。
—にわのわではどんな作品が並び、どんな展示となりそうでしょうか。見どころやいちおし作品があったら教えてください。
鉄のフライパンや、真鍮や銅を使った器。
しばらく作っていなかった、鍛造のスプーン。
そして、小さな鉄の彫刻も。
使うものも、ただそこに在るものも、同じ火と時間の中から生まれています。
いま自分の手から生まれている景色を、、にわのわ アート&クラフトフェアに持っていきます。
- E-mail:info@schmied1535.com
- ホームページ:https://www.schmied1535.com/
- instagram:https://www.instagram.com/tanaka_yoshihisa_1535