2018.04.20
出展者紹介:瀬川辰馬(陶磁)
プロフィール
1988年、神奈川県生まれ。
2014年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了後、2017年に千葉県長柄町に築窯。
現在、日用雑器を中心に制作に取り組む。
—ものづくりの道に進むことになったきっかけを教えて下さい。また、ものづくりの際に大切にしていること、ものづくりに対する思いを聞かせてください。
絵を描くことや、粘土で遊ぶことが嫌いな子供って、いるのだろうか。
僕も例に漏れず、ものをつくって遊ぶことが好きな子供でした。
そして、つくることが楽しいまま、もうすぐ30歳になろうとしているところです。
ものづくりの道に進むきっかけって、思うにそんなに明確なかたちでは存在していなくて、ものづくりの道に進まなかったきっかけだけが、世の中には沢山存在しているんじゃないだろうか、とこの質問を頂いて考え込みました。
うつわという道具を作る上で、最も強く願っているのは、それを握るものの悦びのためにあると同時に、それに抱かれるものへの祈りのためにあれるようなものを作りたいということです。
動植物たちのいのちをたしかに抱き留め、食卓といういのちの循環の場を、僅かかもしれないけれど、うつくしいものに近づけるような働きをすることが、うつわという道具の芯であると考えます。
その芯が、そのまますがたを帯びたようなうつわを生み出したいと思いますし、またそのための現実的な工夫に没頭することに、喜びを感じています。
—にわのわは地元千葉をだいじにし、つくり手とつかい手を結ぶ「わ」となることを目指しています。千葉とのつながりを含め、つかい手に向けた簡単な自己紹介をお願いします。また、にわのわに抱いているイメージを教えてください。
昨年、縁あって、東京から千葉県長柄町に制作の拠点を移しました。
山々が午睡に落ちたように静かな田園集落で、棚田状になっている土地の最上段に古い造りの母屋があって、すこし下がったところに、小さなアトリエがあります。
毎日、日暮れ過ぎまでそのアトリエでひとり仕事をしますが、仕事を終えて母屋へとつづく枕木の階段を登る道すがら、夜の空と、そこに浮かぶ星々の瞬きが自然と目に入ってきます。
時折、足を止めて、自分がほんの数分前まで夢中になっていた作業と、その光たちとの間に横たわる、あらゆる種類の距離について考えを巡らせることがありますが、その度、可笑しさと寂しさのようなものが綯い交ぜになった、泣き笑いの気分にさせられます。
豊かな自然のなかで、東京で制作していた頃とはまた少し違うスケールで自分の生活と制作を育んでいけるような気がしていて、今の環境がとても気に入っています。
にわのわに出展させて頂くのは今回がはじめてですが、千葉という”ホーム”を同じくする来場者の方々、出展者の方々との出会いが、いまからとても楽しみです。
—にわのわではどんな作品が並び、どんな展示となりそうでしょうか。見どころやいちおし作品があったら教えてください。
これまでの制作では、主に電気窯を用いて、化粧土を数層重ねてつくる質感に富んだ白い器を手がけて来ました。
当日はそのシリーズを中心に構成しつつ、千葉への移住を期に始めた穴窯で焼いた花器やオブジェたちもお届けする予定です。
ホームページ:http://tatsumasegawa.com