Special 素材の種まきから収穫まで、
ともに楽しみながらヒンメリの魅力を伝え続けたい

大岡真奈さん(ヒンメリのおか) アート

北欧の伝統的装飾品「ヒンメリ」を制作されている大岡さん。四街道市の畑でヒンメリの素材となるライ麦の刈り取りワークショップが開催されていると伺い、会いに行きました。

雑誌で見たヒンメリに魅かれて教師を辞め、この道へ

ヒンメリに出会ったきっかけをおしえてください。

7、8年ほど前、図書館で何気なく目にした雑誌で、はじめてヒンメリの写真を見ました。とてもシンプルな作品だったのですが、その時に雷に打たれたような衝撃を受けてしまって。「このきれいな物体はなんだろう?」と読み進めていくと、ヒンメリと言うキーワードに出会いました。帰ってから調べてみて、北欧の装飾品だと知り、どうにかして自分で作ってみたい!と思い、写真を見ながら手探りで形の再現をしはじめました。当時は小学校で理科の先生をしていたのですが、ヒンメリからあまりの衝撃を受け、「ヒンメリを作っていきたい」と思ってしまい、この道に進み、今に至ります。

ヒンメリが飾られた部屋では、心地よく渡る風が見えます

「にわのわ」がきっかけでライ麦に出会う

今日はライ麦畑で収穫したそうですが、その畑との出会いはにわのわだったとか?

はじめはライ麦が手に入らないので、ストローを使ってヒンメリをつくっていました。日本の住宅は白い壁が多いので、黒いストローのヒンメリは白に映えて モノトーンのコントラストがきれいだな、と感じていました。
3年前、にわのわに出展したときに、キレドさんの畑の大家さんがにわのわに来てヒンメリのブースに寄り、はじめてヒンメリを見て衝撃を受け「これは何ですか?」と質問攻めに。興奮度合いが自分のときと同じだなと思いました。大家さんは「うちの畑でライ麦をつくっているよ」「次のワークショップ行きたいです」と言ってくださって。次に開催予定だったワークショップは初心者向けではなく、難易度の高いものをつくる会だったのですが、大家さんはすぐに私の本を取り寄せ、掲載作品をすべて作って練習して、ワークショップに参加してくださいました。そんな出会いがあって、2年前から畑をお借りして、ライ麦の種まきから収穫までができるようになりました。

刈り取り作業のひとこま

ライ麦でしかつくれないものがある

ライ麦の魅力はどんなところですか?

ライ麦は、麦の中でも背が高いのが特徴で、上の方の節からは極細の長いパーツを、一番下の節からは太めのパーツをとることができ、さまざまな太さのパーツをとることができる、というのが魅力です。細いパーツでヒンメリをつくると繊細な作品、太いものでつくると迫力のある作品がつくれますし、細いパーツと太いパーツを組み合わせて、より複雑な形を作ることも可能になります。この繊細さはストローには出せないので、ライ麦ならではの魅力です。
刈り取ったライ麦は干して、節ごとに分けて、皮をむき、太さごとに分けて切りそろえ、パーツを作ります。はじめは緑色ですが、だんだんと麦わら色に変わっていきます。このライ麦のつやつやした色や香り、カサカサという音も好きです。

収穫したばかりのライ麦。節と節の間の空洞部分が材料になります

よく干し、皮をむいて太さと長さをそろえたものを用意してつくられます

一筆描きのように糸を通し、平面から立体へ

どんなふうにヒンメリ作品はできていくのでしょうか?

できるだけ均一な太さのライ麦を必要な本数用意します。長さもきちんと同じにすることが必要です。必要な長さの糸を針に通して、つなげていきます。糸の種類や太さも、作品に合わせて変えています。これは三角形の面が八個あるので「八面体」という作品。このような基本形を組み合わせたり、つなげ合わせたりして、複雑な形にすることもできます。

実際に「八面体」をつくっているところを見せてくださいました

細く長い針を使います

あっという間に完成した「八面体」。だんだんと麦わら色に変わっていくそうです

素材からヒンメリの魅力を伝えていきたい

大岡さんの活動は今後、どんなふうに広がっていきそうですか?

今日は、初めて畑で刈り取りのワークショップを開くことができて、皆さんにとても喜んでもらえたので、今後もこんな風にたのしんでもらえる会を開いていきたいです。畑で収穫する喜び、その恵みを使ってつくる楽しさ、つくったものを家に飾って癒されること…それを伝えていけたらいいなと思っています。
また、「これをつくってみたい」と思ってもらえるような新たな本の出版の機会があるといいなと思っています。

グループ展にむけてひとこと

一期一会を楽しんで頂けるように、一つ一つ異なるデザインを作っていきたいです。これまで、にわのわでは毎年、たくさんの方との出会いがあって「これが好き」と言ってもらえたので、今回もときめく出逢いがあるようにたくさんご用意したいと思っています。

回転した姿が美しいということもヒンメリのデザインを考えるポイントになると伺って、さらにヒンメリの魅力を知りました

(聞き手・文:濱口さえこ 取材日:2021年5月10日)

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